料理の漫画といえば、なんといっても『包丁人味平』だろう。

個人的には、〈料理〉という範疇にとどまらず1970年代を代表する漫画作品だと思っている。
’70年代の『包丁人味平』、’80年代の『ちょっとヨロシク!』、’90年代の『みどりのマキバオー』だと思っているが、今はこの話をふくらませる気はない(笑)。
そうだな、『味平』以降も、料理漫画あるいはグルメ漫画なんざ特に意識してこなかった。
ジャンルとしてそういうのが確立されていると気づいたのは、2002年の「COMIC CUE」Vol.200だっただろうか。
特集:食べ物天国!

この中に料理漫画を紹介・解説してるコーナーがあり、そうかこんなにたくさんこの種の作品はあるのかと初めて気がついたように思う。(←遅い!)

これらの作品を積極的に読むようなことはなかった。漫画そのものへの関心も低くなっていたし。
でも、料理漫画を集めたようなコンビニコミックは、なんだかよく買っていた。ほかのジャンルの漫画より身近に感じられてたからかもしれない(笑)。いや、きっとそんな理由だった。
料理漫画を集めたコンビニコミックで特に「良いなあこれは」と思ったのが、『たそがれ食堂』であった。
幻冬舎の「バーズコミックス プラス」という位置づけらしい。vol.1が発行されたのが2017年。ほぼ隔月で、紙版ではvol.25まで出ている。
紙の本が全巻あるので、ここでちょっとだけ振り返って、慈しんでみたいと思います。
■ vol.1 新規開店記念号!!! 2017年6月15日発行

キャッチフレーズは「大人味のグルメコミック」
原作協力/久住昌之、作画/魚乃目三太『旅の肴(特別編)~料亭に集う奇跡の夜~』より

原作/丸山ゴンザレス、作画/渡辺大樹『Professor Crazy’s Gourmet Trips ~世界のスラムにうまいものあり~』より

松田洋子『あなたに捧げる私のごはん』より

『たそがれ食堂』の中で一番の傑作!!
モンキー・チョップ『Hey!ワンコップ犬関』

やはりこーゆーしょーもない漫画にどーしよーもなく愛着を抱いてしまう。


「新作&読切」とあるが、以降も全て新作だったのだろうか?(すみません不詳です。)
■ vol.2 夏の定番!!! ビール特集 2017年8月15日発行

きくち正太『はなれのおねえさん。』

巻頭にカラーページがあったが、ほとんどは実際のお店や料理に紹介などに割かれていた。その意味で貴重。
『あなたに捧げる私のごはん』より

佐藤修弘『立ち食いそばとビールと俺』

なんとも独特な作風で魅了する佐藤修弘の世界。往年の「コミックモーニング パーティー増刊」に載ってたような漫画っぽい不思議さに惹かれてしまう。


■ vol.3 食欲の秋!!! お弁当特集 2017年10月15日発行

安倍夜郎『たそがれ優作』

『たそがれ食堂』の看板作品
『Professor Crazy’s Gourmet Trips ~世界のスラムにうまいものあり~』より

『はなれのおねえさん。』

たまにセンターカラーのページがあった
『あなたに捧げる私のごはん』

この連載作品こそ『たそがれ食堂』イチの傑作!!
要するに〈食〉というものは生活と直結してるから、テーマやプロットは無数に生み出せるわけである。だが、こんな手があるとは!他に類のない食漫画である。
作者はどこまで計算してるのか、この絵柄で時々珍妙なギャグをぶっ込んでくるからシュールさを狙ってるのかと思いきやギリギリのリアルな心理描写を追求してるようでもあり、読み込む甲斐のある作品に仕上がっている。

(どうしてこんなに色合いが変わっちゃうのだろう。。)


■ vol.4 ラーメンそばうどん大特集!!! 2017年12月15日発行

杉作『ネコと颯太とお弁当』

ネコ漫画の大家・杉作による何気ない日常を微細に描いた(笑)連載。普通の漫画家なら見過ごすような変な視点で細かいところが好き。
原作/久住昌之、画/土山しげる『野武士のグルメ』より

退職後の昼酒。そんなに面白いモンでもないんだよねえ。やるなら現役のうちにやらなきゃ(笑)。
『あなたに捧げる私のごはん』


佐藤修弘『カレー南蛮な女』

佐藤修弘の唯一無二の世界(笑)


■ vol.5 フライ&天婦羅 揚げ物大特集 2018年2月15日発行

『野武士のグルメ』より コロッケの回

この描写とか見ると、やはり「コミックモーニング パーティー増刊」に載ってた前川つかさ『大東京ビンボー生活マニュアル』を思い出してしまう。

(コミックモーニング パーティー増刊10より)

『あなたに捧げる私のごはん』より

佐藤修弘『パン屋さんで朝食を』より

この短編もワケ分からん都会っぽさがあって好き(笑)


■ vol.6 おとなの買い食い大特集 2018年4月15日発行

巻頭カラー:『はなれのおねえさん。』

『あなたに捧げる私のごはん』より



■ vol.7 こだわりの夏 瓶ビール大特集!! 2018年6月15日発行

『はなれのおねえさん。』より

きくち正太による最上級のウンチク
『あなたに捧げる私のごはん』より

原作/丸山ゴンザレス、作画/渡辺大樹『鳥居准教授の空腹 ~世界のスラムにうまいものあり~』より


いつの間にかタイトルが変わっていたが、同じ作品である。
ラズウェル細木『晩酌パラダイス neo』より

若い頃、「チャンポン」とは酒を混ぜて飲むことだと教わったが、今そんなことする奴はいねーわな。
『野武士のグルメ』より

『千と千尋の神隠し』のエンドロールを思い出す
土山しげるが亡くなってしまった。編集長による追悼の文。

原作ありの場合もあったが、原作なしでもとんでもなく面白い作品の描ける漫画家だった。まだ68歳だったのか。損失が計り知れない。
佐藤修弘『9000円のハンバーグランチ』より

やっぱり変な漫画なのだが、クセになる変さなのだ。
新連載 杏耶『いいわけごはん』


この漫画も、「コミックモーニング パーティー増刊」っぽいテイストを感じてしまう。良い意味で。
特にこだわり続けてるつもりはないが、どうも私は「コミックモーニング パーティー増刊」の幻影を追い続けてるのかもしれない。
佐藤修弘『俺と社長とビールと鰻』


この画風、この角度、何かに似てるなあなんだっけなあ松本零士でもねーし。と思ってたら、望月三起也だと気がついた。良い意味で。


■ vol.8 真夏のカレー大特集!! 2018年8月15日発行

『あなたに捧げる私のごはん』より

杉作『ごはん、まだですか?』


猫漫画の巨匠
きくち正太『あたりまえのぜひたく。』より

カレーといえば自由軒のインディアン


■ vol.9 ごはん大特集!! 2018年10月15日発行

しかしこうして並べてみると、改めて季節感たっぷりの表紙だと気づかされる。
巻頭カラー:『はなれのおねえさん。』

『たそがれ優作』より

肉炒め定食 ごはん大盛り
『野武士のグルメ』より

名シーン
『あなたに捧げる私のごはん』より

『いいわけごはん』より

ルパン飯かよ


■ vol.10 熱々料理でちょいと一杯大特集!! 2018年12月15日発行

『あなたに捧げる私のごはん』より

新連載 高田靖彦『今夜も割りカンで』

佐藤修弘『僕らはグルメなサルである』より

この角度、そして流れるような描線(笑)。ものすごく変だがものすごくクセになる(笑)。
桑田乃梨子『コンビニおでんで女子会』

こーゆー普通の漫画があると、かえって目立ったりするのが『たそがれ食堂』(笑)。


■ vol.11 魚を喰らう大特集!! 2019年2月15日発行

『あなたに捧げる私のごはん』より

『野武士のグルメ』より

「嬉しいじゃあーりませんか」
『あなたに捧げる私のごはん』より

今号は2本立て


■ vol.12 たまごが好き大特集!! 2019年4月15日発行

『あなたに捧げる私のごはん』より



■ vol.13 ガッツリ焼肉大特集!! 2019年6月15日発行

新連載 山本あり『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』


『あなたに捧げる私のごはん』より

土山しげる『俺、南極で料理してます』On the Rocks (原案:竪谷博)

追悼特別掲載


■ vol.14 ビールの流儀大特集!! 2019年8月15日発行

『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』より



■ vol.15 一度はやってみたい秋の宴大特集!! 2019年10月15日発行

新連載 ラズウェル細木『菜道具009』

念のため言うと、タイトルは『サイボーグ009』のパロディ
高橋すぎな『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』

特別読切

次号から連載化される
『あなたに捧げる私のごはん』より



■ vol.16 とっておき鍋大特集!! 2019年12月15日発行

『菜道具009』より

いろいろ勉強になるなあ
新連載 高橋すぎな『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』


『花のズボラ飯』のような効果を意識してるわけではなく、なんというか、真面目な作品です(笑)。でも先の展開が読めない。そこも好感が持てるっちゃ持てる。
『あなたに捧げる私のごはん』より



■ vol.17 日本酒大特集!! 2020年2月15日発行

『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より

『あなたに捧げる私のごはん』より



■ vol.18 日本の洋食大特集!! 2020年4月15日発行

『あなたに捧げる私のごはん』より

『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より



■ vol.19 町中華&ビール極厚号!! 2020年8月15日発行

ローソン限定版「たそがれ食堂」第1弾のお知らせ

『あなたに捧げる私のごはん』より

『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より

『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』より

『あなたに捧げる私のごはん』より

今号も2本立て
2020年といえば、コロナ禍1年目の年であった。編集長からのメッセージが掲載されました。



■ vol.20 蕎麦屋飲み大特集!! 2020年10月15日発行

新連載 山本あり『ひとり飲みの帰り道』

『あなたに捧げる私のごはん』より

『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より



■ vol.21 がぶ飲みワイン大特集!! 2020年12月15日発行

やっぱ安倍夜郎の表紙、たそがれ優作の表紙は良いねえ。
『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より

ローソン限定版「たそがれ食堂」第2弾のお知らせ



■ vol.22 真冬の焼き鳥大特集!! 2021年2月15日発行

ローソン限定版「たそがれ食堂」第3弾のお知らせ

『あなたに捧げる私のごはん』より

『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より



■ vol.23 お取り寄せグルメ大特集!! 2021年4月15日発行

「たそがれ食堂」WEB版スタートのお知らせ

『あなたに捧げる私のごはん』より 感動の最終回

こういう終わらせ方、良いですよね。
『おいしすぎて深刻なエラーが発生しました。』より

『野武士のグルメ』より

幸福な締めで土山しげるを送りたかったんだなあと思わせる奇跡のエンディング

ローソン限定版「たそがれ食堂」第4弾のお知らせ



■ vol.24 スタミナ料理&極旨ビール大特集!! 2021年10月15日発行

『はなれのおねえさん。』より

そうか、きくち正太はここでハートランドビールを持ってくるか。確かに「幸せの絵面」だこりゃ。


■ vol.25 麺&旨辛&豚肉料理大特集!! 2022年2月15日発行

いくえみ綾『今夜もひとりですが何か?』

ローソン限定版で連載が始まっていた。どこにでも転がってるようなありきたりの内容じゃないので、もっと読みたくなるコミックエッセイです。
『はなれのおねえさん。』より

『今夜もひとりですが何か?』

クリームシチューに追い胡椒だと?知らない世界だ。
『ごはん、まだですか?』

無限に続いてほしい漫画です


紙版の方はここで(一旦)終了となっている。気になる漫画はWEB版の方で読めばいいんだろうが、なーんか敬遠してしまっている(笑)。漫画に限らず、本をタブレットやスマホで読むというのをやったことがない。単純に目に悪いような気もするし。って、これだけパソコンいじってるんだから同じことなんだろうけど。
てか紙で読みたいんだよね。昔、子どもの頃、買ったばかりのコミックスのインクの匂いをかぐのが好きだった。昔のインクは匂いがキツかったのかな。それが良かったのだ。LPレコードのビニールの匂いも好きだった。って、何書いてんだ(笑)。
「たそがれ食堂」がWEB化したのはコロナ禍と因果関係があったのかどうか知らないけど、当然誌面づくりには影響があったようで。
vol.19の編集長メッセージに「作品の中では、マスクや消毒薬のない状況を描いておりますがコミックがエンターテインメントな世界であることをご理解いただけましたら幸いです。」との一文がある。そんなこと気にする必要なんか全然ねーじゃんと思慮の浅い私は考えてしまうのだが、そうだな、ドラマの『孤独のグルメ』では手指消毒をちゃんとしてたなと思い起こすのであった。配慮が求められてたんだねえ。。編集部も、漫画の編集部としても厳しい辛い時期を経てきていたのだ。
ローソン限定版は全部で4冊出たかと思います。オリジナル版からの再掲載が多かったですが、改めて目に留まったものを含め、ちょっとだけ振り返ってみます。
■ 2020・秋 ~宅飲み編~ 2020年9月15日発行

コロナ禍だから「宅飲み」なわけである
『今夜もひとりですが何か?』

これが#01(?)。考えてみりゃコロナ禍対応漫画だったのか(?)。
『たそがれ優作』より

そうか、これもお店とか出てこない回の再掲載だったし。
『冷蔵庫のアレ、いつ使うの?』より

実生活に響くなあ
『ごはん、まだですか?』より



■ 2021・初春 ~我が家の宴編~ 2021年1月15日発行

『ひとり飲みの帰り道』特別編

『ごはん、まだですか?』より


いつまでもいつまでも、ずっと読んでいたくなる作品です。


■ 2021・春 ~肉食編~ 2021年3月15日発行



■ 2021・夏 ~爆飲ビール編~ 2021年7月15日発行

「たそがれ食堂」web版02のお知らせ

web版を読むのを頑なに拒んでるわけでもないんだが・・・
単に面倒くさがりなんですわ


WEB版を否定するつもりは毛頭ないが、たぶん紙の本を積み重ねたり本棚に並べて眺めたりするのが好きなのだろう私は。そんな気がする。
いつか「たそがれ食堂」も、紙版で復活してほしい。
さて、食漫画の雑誌といえば、東日本大震災の前から始まってコロナ禍をも乗り切ったコンビニコミックがある。