何か新しいネタを思いついたら載せていきたいと考えております。


◆ブラームス:交響曲第3番第2楽章

 この作品を最初に誰の演奏で聴き込んだのかもう忘れてしまったが、よしカラヤンの演奏で聴こう!とカセットテープを買ったのが18歳ぐらいの頃だと思う。その辺の記憶すら定かでない(笑)。




 はっきり言って第1楽章の冒頭など、それまで聴き馴染んでたフレージングとだいぶ違ってたので、ああ買って失敗だったかなと最初は思った。でもせっかく買ったのだからと一生懸命聴いてた演奏でした。

 どこを切り取っても魅力にあふれた交響曲なんだけど、今回は第2楽章のこの箇所に着目:


 とりあえず何か一段落してホッとしてるようなフレーズ。子どもの頃に見た夕焼け感が漂っている。あるいはもっと遅い時間帯の安らぎかな・・。
 見過ごされがちかもしれないけど、素敵なフレーズだと思います。

 アルバム「アダージョ・カラヤン」にこの楽章が選曲されているのを知った時、驚いたものだ。曲自体はそれほど有名なものじゃなかったから。ベストセラーとなったCDで、それが故にクラシック・ファンからは軽視されたりしたかもしれないけど、決してバカにできない内容だと思う。
 「アダージョ・カラヤン」に収められているブラームス第3番第2楽章は、上のものより後に録音された演奏ですが、だいたい同じような感じとなってます。


 さて、この箇所を大胆に表情づけしてるのが、例によってクナッパーツブッシュなわけ。ベルリン・フィルとの録音:


 一応、譜面通りのスラーと言えば譜面通りのスラーなのだが、これは反則でしょ(笑)。反則級のデフォルメにより反則級のチャーミングさを醸し出している。
 自慢じゃないが、俺様はメロメロになりやすい体質なので、すぐメロメロになってしまう。

 この演奏の欠点は、この演奏に聴き慣れてしまうとほかの演奏ではもの足りなくなってしまうこと。同じような演奏を期待してると、肩透かしを食う。この箇所にこんなフレージングを施すのはクナッパーツブッシュだけだ。


 やはり、バルビローリ指揮ウィーン・フィルぐらいの上品な表情づけが好ましい。
 こんな感じ:


 そうだな、やっぱりバルビローリが良いね、ブラームスは。一番自然だ。一番しっくりくる。


 と思ってたんだけど、敢えて何にもしない、無表情なままの演奏ってのもいいかなーと思うようになってきていて。
 例えば、クルト・ザンデルリング指揮シュターツカペレ・ドレスデンの盤:


 さらっとしていて、粋だねえ。これはこれで情緒がある。じめじめしてなく、潔い。わざとらしいよりはよっぽど良いような気がしてくる。
 そうか、余計な作為など施さなくてもブラームスの曲はちゃんと心を揺り動かすんだね、っていうことに今さらながら思い至ったりするのであった。(クナッパーツブッシュのも好きだけど。)



◆冬木透:「TACの歌」

 2025年4月5日放送のNHK-FM「クラシックの迷宮」は作曲家・冬木透を偲ぶ内容で、ウルトラシリーズからの音楽が多数かけられた。
 今回に限らず、パーソナリティの片山杜秀はアニメや特撮の音楽を番組の中で幅広く扱っている。こういうところが片山杜秀の立派なところだ。しかも、当該TV番組についての解説まで的確(笑)。遊び半分で取り上げてるのではなく、自分自身が本当に好きであるのが伝わってくる。


 まさかクラシック音楽の番組でこんな話が聞けるとは思わなかった。


 その時の回で放送された「ウルトラマンA」の「TACの歌」について。

 「TACの歌」。たいへん感動的な楽曲である。第2期ウルトラシリーズの中では「ウルトラマンレオ」の最初の主題歌と並ぶ重要作だと思っている。
 ただ、今現在「TACの歌」といえば、この時かけられた流れたバージョンが一般的になってしまっているのだろうか。私の持っているCDも同一のものなのだが。

 2025年4月5日放送の「クラシックの迷宮」から:


 名曲である。胸が熱くなるぜ。


 しかし、「TACの歌」にはワンダバが入っているバージョンが存在するのである。ワンダバが入っていればこその「TACの歌」なのだ。
 私もCDを買った時、ワンダバ入りじゃなかったのでとてもガッカリしたという経験がある。
 ワンダバ入りの方を「TACの歌」のメインストリームにしてほしいのである。

 ワンダバ入りのバージョンがこちら:


 「TACの歌」はワンダバ入りのにしてください!


 ところがここで話は終わるんじゃなくて、ワンダバ入りにもたぶん複数のバージョンがあるんだよね。

 私が40年ほど前に聴いていたバージョン。もっとキレイなのがあればいいんだけど、手元にこれしかない。(雑音激しく音質極悪です。音量が大きいのでボリュームを下げてお聴きください。)


 ↑ このバージョンが好きなのよ(笑)。自分がずっと聴いてたから。↑ このバージョンがもっと普及してほしいんです。どうすればいいんでしょ、

ってクラシックじゃねえしフレーズでもねえ!!




◆宇野誠一郎:「ひょっこりひょうたん島」

 ならばついでにもう一つ、いろんなバージョンを比べて面白がるネタ。
 「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングについて。
 昔から気になってた事ではあるけど、私の知識がないだけで、今さら何言ってんの?という話かもしれないが。。

 一般的に、「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングといえば、このバージョンであろう。
 バージョン1:



 ところが、この楽曲には複数のバージョンがあるのよ。
 2016年3月12日放送のNHK-FM「アニソン・アカデミー」で、前川陽子本人がそのことについて触れている。

 2016年3月12日放送「アニソン・アカデミー」より
 バージョン2:


 しゃくり上げを施さない「まじめ」バージョンである。(出演者は、バージョン1が流されるという前提で話を進めたっぽいみたいだけど。)
 いずれにしても、ワンコーラスのみの、いわゆるTVサイズと同尺である。


 ところがところが、長いバージョンがあり、しかもそれも複数あるのよ。

 ワンコーラス終了後、間髪入れず途中から繰り返すバージョン
 バージョン3:



 短い間奏後、歌を最初から繰り返すバージョン
 バージョン4:


 どのバージョンも良い。というか、前川陽子の歌唱のニュアンスや合唱の味付け具合がそれぞれ異なり、みな素晴らしい。
 しかもそれ以上に、バージョン1と2は伴奏が同一のようだけど、ほかは伴奏の細かい所がそれぞれ違うというのがまた非常に興味をそそられる。


 ところがところがところが。私の慣れ親しんできてるバージョンは、上のどれとも異なるのよ。ユーチューブとかにもアップされていないと思うんだけど。
 1984年にラジオから録音したものです。

 間奏の後、「ルルル」で合唱し、途中から歌を繰り返すバージョン
 バージョン5:

 (こうして並べて聴くと、バージョン5はバージョン1と同一のものが土台になってるような気もするけど、〈だけどボクらはくじけない♪〉から〈泣くのはいやだ♪〉へのつなぎ方とかが違うから、やっぱ別モノだよね。)

 ↑ このバージョンが好きなのよ!なぜならこれでずっと聴いてきたから(笑)。↑ このバージョンって、どういう扱いになってるのでしょうか??


 てか、どれもホント良いけどね。
 てか、知ってる人には常識の話なのかもしれない。今ごろ遅いよ、という話に過ぎないかもしれない。



って完全に本来の趣旨から外れちまってる!!



(まあいつもこんなもんです)